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学校安全

学校安全って何?

学校安全は、児童生徒が安全について必要な事柄を理解し、これらを日常生活に適用し、常に安全な行動ができるようにする安全教育と、児童生徒の学校生活が安全に営まれるように安全に関して必要な条件整備を図るための安全管理からなるものである。

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保育所における乳幼児の事故防止対策に関する調査研究報告書より

 

安全管理について

安全管理の目的

①潜在する危険を早期に発見するとともに事故災害を防止すること。

②安全管理の活動を通して、安全指導の充実を図ること。

③危険箇所を発見し安全確保の措置を講ずること。

 

関係法令

①学校保健安全法

学校保健法を改正・改称し、H21.4.1より施行。

全文はこちら。

学校保健安全法

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学校保健安全法、学校薬剤師と学校薬剤師会 - 一般社団法人奈良県薬剤師会より

 

第三章 学校安全

第26条 学校安全に関する学校の設置者の責務

学校の設置者は、児童生徒等の安全の確保を図るため、その設置する学校において、事故、加害行為、災害等により児童生徒等に生ずる危険を防止し、及び事故等により児童生徒等に危険又は危害が現に生じた場合(危険等発生時)において適切に対処することができるよう、当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 

第27条 学校安全計画の策定等

学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。

第28条 学校環境の安全の確保

校長は、当該学校の施設又は設備について、児童生徒等の安全の確保を図る上で支障となる事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善を図るために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができない時は、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。

第29条 危険等発生時対処要領の作成等

学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の実情に応じて、危険等発生時において当該学校の職員が取るべき措置の具体的内容及び手順を定めた対処要領(危険等発生時対処要領)を作成するものとする。

2 校長は、危険等発生時対処要領の職員に対する周知訓練の実施その他の危険等発生時において職員が適切に対処するために必要な措置を講ずるものとする。

3 学校においては、事故等により児童生徒等に危害が生じた場合において、当該児童生徒及び当該事故等により心理的外傷その他の心身の健康に対する影響を受けた児童生徒等その他の関係者の心身の健康を回復させるため、これらの者に対して必要な支援を行うものとする。この場合においては、第10条(地域の医療機関との連携)の規定を準用する。

第30条 地域の関係機関等との連携

学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、児童生徒等の保護者との連携を図るとともに、当該学校が所在する地域の実情に応じて、当該地域を管轄する警察署その他の関係機関、地域の安全を確保するための活動を行う団体その他の関係団体、当該地域の住民その他の関係者との連携を図るよう努めるものとする。

 

→まとめると

第26条 学校の設置者(≒教育委員会)のすべきこと

事故、加害行為、災害等により生ずる危険の防止

危険等発生時の対処

が適切に行われるよう、

学校の施設設備管理運営体制の整備充実や必要な措置を講ずること!

第27条 学校安全計画について

①施設、設備の安全点検

②安全に関する指導通学や日常生活)

③職員の研修

についての計画を策定し実施すること!

第28条 学校環境の安全の確保(校長のすべきこと)

施設や設備に、安全確保に支障のあるときは、

①措置を講じる

②難しいときは教育委員会に報告する

第29条 危険等発生時対処要領について

①危険が発生したときに職員が取るべき措置とその手順を定めた要領を作る

②校長は、要領を周知し、訓練を行う

③心身の健康に支障が出た場合は、病院やカウンセラー等と連携し支援を行う

第30条 地域の関係機関等との連携

保護者

警察署など

地域の安全を確保するための活動を行う団体など

地域住民など

と連携する!

 

②学校保健安全法施行規則

全文はこちら。

学校保健安全法施行規則

第28条 安全点検

法第27条の安全点検は、法の法令に基づくものの他、毎学期1回以上、児童生徒等が通常使用する設備及び施設の異常の有無について系統的に行わなければならない。

2 学校においては、必要があるときは、臨時に、安全点検を行うものとする。

第29条 日常における環境の安全

学校においては、前条の安全点検のほか、設備等について日常的な点検を行い、環境の安全を図らなければならない。

 

→まとめると

①毎学期一回以上

②臨時

③日常

の安全点検を行うというもの。

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文部科学省刊行物 「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育 よりhttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/10/26/1289314_03.pdf

 

留意事項

第26条について

「設置する学校において」とは

①校舎、運動場など敷地内

②敷地外で、学校の管理者の管理責任の対象となる活動が行われる場所(農場など実習施設等)

・通学路は地方公共団体の管轄で通常は含まれないが、第27条の通り安全指導や、第30条の通り警察、ボランティア団体等地域との連携に努めるとされているので、学校も適切に対応する。

「加害行為」とは

誰かが故意に児童生徒に危害を加えること

①不審者が侵入

②児童生徒間のいじめや暴力行為

事故、加害行為、災害「等」とは

施設設備からの有害物質の発生など

第27条について

学校安全計画

①毎年作る

②以下を含まなければならない

a. 学校の施設設備の安全点検

→児童生徒の多様な行動に対応したもの

b. 児童生徒等に対する通学を含めた安全指導

→安全管理と一体的に取り組む。

→防犯マップなど

c. 教職員に対する研修

→事故事例集を利用する(文科省やスポ振が作成している)

→警察等とも連携

 

評価の視点

①学校事故等の緊急事態発生時の対応の状況

②家庭や地域の関係機関、団体との連携の状況

③法定の学校安全計画や、学校防災計画等の作成・実施、体制整備の状況

④危機管理マニュアル等の作成・活用の状況

⑤安全点検(通学路の安全点検を含む)や、教職員・児童生徒の安全対応能力の向上を図るための取り組みの状況

(「学校評価ガイドライン」よりhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/03/16/1368615_009.pdf

 

安全教育について

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文部科学省刊行物 「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育 よりhttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/10/26/1289314_03.pdf

安全教育の目標

①日常生活における事件・事故災害や犯罪被害等現状、原因及び防止方法について理解を深め、現在及び将来に直面する安全の課題に対して、的確な思考・判断に基づく適切な意思決定や行動選択ができるようにする。

②日常生活の中に潜む様々な危険を予測し、自他の安全に配慮して安全な行動をとるとともに、自ら危険な環境を改善することができるようにする。

③自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加・協力し、貢献できるようにする。

安全教育の各領域の内容

生活安全に関する内容

日常生活で起こる事故の発生原因、結果と安全確保の方法について理解し、安全に行動ができるようにする。

a. 学校生活各教科総合的な学習の時間などの学習時における危険の理解と安全確保

b. 生徒会活動クラブ活動等における危険の理解と安全確保

c. 運動会、校内競技会等の健康安全体育的行事における危険の理解と安全確保

d. 遠足・旅行・集団宿泊的行事、勤労生産・奉仕的行事等学校行事における危険の理解と安全確保

e. 始業前や放課後等休憩時間及び清掃活動等における危険の理解と安全確保

f. 登下校や家庭生活における危険の理解と安全確保

g. 野外活動等における危険の理解と安全確保

h. 事故発生時の通報と応急手当

i. 誘拐や傷害などの犯罪に対する適切な行動の仕方など、学校や地域社会での犯罪被害の防止

j. 携帯電話やコンピュータ等の情報ネットワークの活用による犯罪被害の防止適切な利用の必要性

k. 施設・設備の状態の把握安全な環境づくり

交通安全に関する内容

様々な交通場面における危険について理解し、安全な歩行、自転車・二輪車等の利用ができるようにする。

a. 道路の歩行道路横断時の危険の理解と安全な行動の仕方

b. 踏切での危険の理解と安全な行動の仕方

c. 交通機関利用時の安全な行動の仕方

d. 自転車の点検・整備と正しい乗り方

e. 二輪車の特性の理解安全な利用

f. 自動車の特性の理解自動車乗車時の安全な行動の仕方

g. 交通法規の正しい理解と遵守

h. 運転者の義務と責任についての理解

i. 幼児、高齢者、障害のある人、傷病者等の交通安全に対する配慮

j. 安全な交通社会づくりの重要性の理解と積極的な参加・協力

災害安全に関する内容

様々な災害発生時における危険について理解し、正しい備えと適切な行動が取れるようにする。

a. 火災発生時における危険の理解と安全な行動の仕方

b. 地震津波発生時における危険の理解と安全な行動の仕方

c. 火山活動による災害発生時の危険の理解と安全な行動の仕方

d. 風水(雪)害、落雷等の気象災害発生時における危険の理解と安全な行動の仕方

e. 放射線の理解と原子力災害発生時の安全な行動の仕方

f. 避難所の役割避難経路についての理解、避難の仕方

g. 災害に関する情報の活用や災害に対する備えについての理解

h. 地域の防災活動の理解と積極的な参加・協力

i. 災害時における心のケア

 

心のケア

心のケアの意義

強い恐怖心衝撃を受けた場合、不安や不眠などのストレス症状は誰にでも起こりうることであり、時間の経過とともに薄らいでいくものであるが、場合によっては長引き、生活に支障をきたすなどして、その後の成長や発達に大きな支障となることもある。そのため、日頃から子供の健康観察を徹底し、情報の共有を図るなどして早期発見に努め、適切な対応と支援を行うことが必要である。

法的根拠

学校保健安全法第29条

3 学校においては、事故等により児童生徒等に危害が生じた場合において、当該児童生徒及び当該事故等により心理的外傷その他の心身の健康に対する影響を受けた児童生徒等その他の関係者の心身の健康を回復させるため、これらの者に対して必要な支援を行うものとする。この場合においては、第10条(地域の医療機関との連携)の規定を準用する。

災害や事件・事故発生時における子どもの心のケアの基本的理解

資料

子どもの心のケアのために ―災害や事件・事故発生時を中心に―:文部科学省

⑴ 災害や事件・事故発生時におけるストレス症状とその対応 

 子どものストレス症状の特徴

・心の症状だけでなく身体の症状も現れやすい

情緒不安定、体調不良、睡眠障害などは年齢を問わず見られる。

①幼稚園〜小学校低学年

・腹痛、嘔吐、食欲不振、頭痛などの身体症状

・興奮、混乱などの情緒不安定

・行動上の異変(落ち着きがなくなる、理由なく他の子どもの持ち物を隠す)

ストレスの引き金となった場面を再現するような遊びをする

②小学校高学年以降

・上記の身体症状

鬱状態(元気がなくなり引きこもりがちに)

・些細なことで驚く

・夜間に何度も目覚める

急性ストレス障害ASD: Acute Stress Disorder)

a. 持続的な再体験症状

・体験した出来事を繰り返し思い出し、悪夢を見たりする

・体験した出来事が目の前で起きているかのような生々しい感覚が蘇る(フラッシュバック)等

b. 体験を連想させるものからの回避症状

・体験した出来事と関係酢量な話題などを避けようとする

・体験した出来事を思い出せないなど記憶や意識が障害される(ぼーっとする等)

・人や物事への関心が薄らぎ、周囲と疎遠になる 等

c. 感情や緊張が高まる覚せい亢進症状

・よく眠れない、イライラする、怒りっぽくなる、落ち着かない、集中できない、極端な警戒心を持つ、些細なことや小さな音で驚く 等

このような「再体験症状」「回避症状」「覚せい亢進症状」がストレス体験の4週間以内に現れ2日以上かつ4週間以内の範囲で症状が持続した場合を「急性ストレス障害(ASD)」と呼ぶ。

「再び回避し覚せい」と覚えましょう。

外傷後ストレス障害PTSD: Posttraumatic Stress Disorder)

災害や事件・事故後にASDのような強いストレス症状「再体験症状」「回避症状」「覚せい亢進症状」が現れ、それが4週間以上持続した場合は「外傷後ストレス障害(PTSD)」と呼ぶ。これらの症状は、災害や事件・事故からしばらく経ってから出現する場合があることを念頭に置く必要がある。

☆アニバーサリー反応

災害や事件・事故などが契機としてPTSDになった場合、それが発生した月日になると、一旦収まっていた症状が再燃することがある。年単位だけでなく月単位で起こることもある。

 

⑵基本的な対応方法

普段と変わらない接し方を基本とし、優しく穏やかな声かけをするなど本人に安心感を与えるようにする。

②ストレス反応は普通であること、症状は必ず和らいでいくことを本人に伝え、一人で悩んだり孤独感を持たずに済むよう、信頼できる人に相談したり、コミュニケーションを取ることを勧める。

③普段となるべく変わりない環境の提供

④学活等で、心のケアに関する保健指導

保護者へのストレス症状に関する知識の提供情報交換

心理的退行現象(幼児返り)は、無理に制止せず経過観察

⑦児童精神科などの受診の勧告

 子どもの心のケアの体制づくり

a. 平常時から備えておくべきポイント

①子どもの心のケアが危機管理体制の一環として位置付けられていること

②子どもの心身の健康状態対応方法日常的に把握しておくこと

③災害や事件・事故発生時に起こる子どもの心身の健康影響基本的対応方法について、研修会等により教職員の共通理解を図っておくこと

保健教育学校教育計画・学校保健計画に明確に位置付けられていること

⑤日頃から、子どもや保護者との信頼関係を築いておくこと

学校、家庭、地域社会との連携が図られていること

b. 養護教諭の役割のポイント

①子どもの心身の健康問題の解決に向けて中核として校長を助け円滑な対応に努める

学級担任等と連携した組織的な健康観察、健康相談、保健指導を行う

③子どもの心身の健康状態を日頃から的確に把握し、問題の早期発見・早期対応に努める

④子どもが相談しやすい保健室の環境づくりに努める

⑤子どもの訴えを受け止め心身の安定が図れるようにする

⑥常に情報収集に心がけ、問題の背景要因の把握に努める

⑦子どもの個別の支援計画の作成に参画する

学校はどこまで対応できるのかという見立てを明確にする

校内関係者関係機関等との連携調整等を行う

医学的な情報を教職員等に提供する

11地域の医療機関相談機関等の情報を提供する

 

学校保健

学校保健って何?

学校保健とは、学校において、児童生徒等の健康の保持増進を図ること、集団教育としての学校教育活動に必要な健康や安全への配慮を行うこと、自己や他者の健康の保持増進を図ることができるような能力を育成することなど学校における保健管理保健教育である。

文部科学省HPより)

つまり、学校保健=保健管理+保健教育 ということです。 

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文部科学省資料 健康教育(学校保健・学校給食)より

学校保健計画

学校保健を行なっていくにあたっては、その計画を策定しなければなりません。

学校保健計画は、学校における児童生徒、教職員の保健に関する事項の具体的な実施計画であるが、この計画は、学校における保健管理と保健教育との調整にも留意するとともに、保健体育、学校給食など関連する分野との関係も考慮して策定することがたいせつである。また、この計画を適正に策定し、それを組織的かつ効率的に実施するためには学校における健康の問題を研究協議し、それを推進するための学校保健委員会の設置を促進し、その運営の強化を図ることが必要である。

(S47 保健体育審議会答申)

 

学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、

児童生徒等及び職員の健康診断(学校保健安全法第13〜16条)

環境衛生検査(第6条)

児童生徒等に対する指導(第9条)

その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。

(学校保健安全法第5条)

学校保健安全法と合わせて、「けんか指導、いい債務ロック」と覚えましょう。

 

留意事項

①毎年作ろう!

学校保健計画は、学校において必要とされる保健に関する具体的な実施計画であり、毎年度、学校の状況前年度の学校保健の取り組み状況等を踏まえ、作成されるべきものであること。

②上の3項目は必ず入れよう!

健康診断・環境衛生検査・児童生徒等に対する指導の3点です。

③保護者等の関係者に周知しよう!

学校保健に関する取組を進めるにあたっては、学校のみならず、保護者や関係機関・関係団体等と連携協力を図っていくことが重要であることから、学校教育法等において学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとされていることも踏まえ、学校保健計画の内容については原則として、保護者等の関係者に周知を図ることとすること。

 

大分県教育委員会さんが、学校保健計画の例を、Excelファイルで上げてくれています。学校保健計画の作成 - 体育保健課:大分県教育委員会

作成の手順 

①学校保健計画目標の決定

②原案の作成

③原案についての意見聴取(学校医・学校歯科医・学校薬剤師)

④全教職員による協議と共通理解

⑤学校保健委員会での協議

⑥学校長による決定

目標を作ったらそれを元に原案を作り、学校医等から意見を頂き、全教職員、学校保健委員会と回し、学校長に決定してもらうという流れです。

学校保健委員会って?

学校保健委員会は、学校における健康問題について、「研究協議し、それを実践に向けて推進すること」を目的とした委員会活動のこと。多様化する学校保健の諸課題に対処するために、単なる審議の機関ではなく、学校における健康に関する課題を研究協議し、学校での健康づくりを推進するための重要な組織である。

なぜ設置するの?

学校保健活動の内容は、極めて多方面に渡り、多くの人々の協力を得ながら展開される活動である。そのため、それに携わっている人々の共通理解を図り、共通の目的に向かって、有機的な連携による組織的な活動が必要となってくる。

→保健教育、保健管理、組織活動と本当に様々なことを行う学校保健という分野。学校、保護者、地域、専門機関とたくさんの機関が、同じ方向を向いて活動するために必要だということです。 

 

学校保健委員会の歴史

①S.24(1949)

文部省より、「中等学校保健計画実施要領(試案)」が出され、設置が推奨されるように。校長の諮問機関として出発。

協議事項は、学校保健計画の立案と実施に関することを中心に、児童生徒の健康の保持増進に関係のあるすべての分野の代表によって組織され、決定事項から実行される。

②S.33(1958)

文部省体育局長通達「学校保健法及び同法施行令等の施行にともなう実施基準について」において、学校保健委員会の開催・活動の計画的実施についての通達がなされる。

「法の運営をより効果的にさせるための諸活動例えば学校保健委員会の開催およびその活動の計画なども(学校保健計画の中に)含むものであって、年間計画および月刊計画を立ててこれを実施すべきものである」

つまり、学校保健委員会の開催や活動は、学校保健計画に盛り込むべきもの!ということです。

③S.47(1972)

文部省保健体育審議会答申において、「(学校保健計画は)この計画を策定し、それを組織的かつ効率的に実施するためには、学校における健康の問題を研究協議し、それを推進するための学校保健委員会の設置を促進し、その運営の強化を図ることが必要である」と指摘。

④H.9(1997)

文部省保健体育審議会答申において、現代的な健康課題の解決に向けて、学校保健委員会を活性化し、家庭や地域社会との連携を強化することが求められた。特に学校における健康教育推進のために、学校及び地域学校保健委員会の活性化を提言。

地域」というキーワードが強調されます。

 

⑤H.20(2008)

文部科学省中央教育審議会答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策として」において、学校保健委員会を通じて、学校内の保健活動の中心として機能するだけでなく、学校、家庭、地域の関係機関などの連携による効果的な学校保健活動を展開することが可能となることから、その活性化を図っていくことが必要とされた。

 

わかりやすいように、各年での提言をまとめます。

 

①S24 「学校保健委員会を設置しよう!」

②S33 「法の運営を効果的にしよう。法の下に作られる学校保健計画の中で、学校保健委員会の開催・活動の計画もなされ、実施されるべき!」

③S47 「学校における健康問題を研究協議し、児童生徒の心身の健康つくりを推進しよう。そのためには学校保健委員会の設置を推進し、運営を強化しなくては!」

④H9 「学校で健康教育を推進しよう。学校における健康問題を研究協議する学校保健委員会は運営を強化しなくては。家庭・地域社会の教育力もあげたいので、学校と家庭・地域社会を結ぶ機関としても機能させよう。地域学校保健委員会も大事!」

⑤H20 「学校保健委員会の設置率は8割程度。設置を進めるとともに、学校、家庭、地域社会の連携を推進し、活性化させよう!」

 

学校保健委員会を設置することは法的に定められているわけではありません。ですが、上記のような通達等で設置が推奨されています。

運営上の留意点

学校と家庭の役割を明確にする。

・学校保健委員会で話し合われた内容は、家庭に保健だよりや学校だよりで確実に伝える。

実践の手立てがイメージできる議題にする。

・テーマに即し、わかりやすい資料を提供し、協議の焦点を絞る。

③問題解決に効果的に働く組織と運営に配慮する。

・始めと終わりの時間を明確にし、能率よく進行する。

・学校医、学校歯科医、学校薬剤師は、専門的立場から指導・助言する。

④委員会で協議された事項は、実践に移すようにする。

 

学校保健委員会には誰がいるの?

学校によって様々ですが、以下に例を提示します。議題によって構成員は変わります。また以下は考えられる全てであり、一般的にはここまで大人数ではありません。

①学校教職員

校長、教頭、教務主任、保健主事養護教諭、保健体育・安全・給食等の主任、一般教職員、栄養教諭学校栄養職員

②医療関係者

学校医、学校歯科医、学校薬剤師

③保護者

PTA役員、通学区域代表等

④地域保健関係者

保健所その他地域の保健関係機関等の代表等

⑤児童生徒の代表

⑥地域の交通安全・防災関係機関の代表

 

☆保健主事とは

保健主事は、学校保健と学校全体の活動に関する調整学校保健計画の作成、学校保健に関する組織活動の推進学校保健委員会の運営)など学校保健に関する事項の管理にあたる職員であり、その果たすべき役割はますます大きくなっている。

このことから、保健主事は充て職であるが、学校における保健に関する活動の調整にあたる教員として、すべての教職員が学校保健活動に関心を持ち、それぞれの役割を円滑に遂行できるように指導・助言することが期待できる教員の配置を行うことやその職務に必要な資質の向上が求められている。

(H20.1 中央教育審議会答申)

法的根拠は以下の通りです。

学校教育法施行規則(S22)

第45条 小学校においては、保健主事を置くものとする。

2 前項の規定にかかわらず、第四項に規定する保健主事の担当する校務を整理する主幹教諭を置くときその他の特別の事情のあるときは、保健主事をおかないことができる。

3 保健主事は、指導教諭、教諭または養護教諭をもって、これに充てる。

4 保健主事は、校長の監督を受け、小学校における保健に関する事項の管理に当たる。

※中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校等にもそれぞれ準用

→つまり保健主事とは、校長の監督のもと、学校保健の管理と調整を行う役のことです。

 

学校保健委員会では何を協議するの?

学校保健計画に関する事項

定期健康診断の実施及び結果の事後措置に関する事項

保護者の啓発と養育態度等の変容を促す事項

「けいけん保護者養育」と覚えます。

 

具体的に言うと…

健康づくり、歯科保健、食生活、性教育、環境、心の教育、安全教育など

 

議題設定のポイント

①児童生徒の生涯の健康つくりの基礎を培う観点から、現在の自校の健康問題を解決し、健康つくりを考える議題とする。

②健康診断の結果から、経年推移や地域的な比較をし、議題を焦点化する。

③健康に関する実態調査や追跡調査の実施から、具体的な問題を取り上げる。

 

学校の危機管理に関する学校保健委員会の役割

学校保健計画の策定と確認

防災体制と保健管理との調整

③健康診断の結果の事後措置の状況の把握(生活管理が必要な児童生徒など)

研修会の開催等

 

年度はじめには、生活管理が必要な児童生徒の周知や、職員に向けてのBLS講習、エピペン講習が行われることも多いです。

 

学校保健委員会における、養護教諭の役割は?

①協議内容に即した資料を提供する。

(例)

・健康診断結果と事後措置

・体力テスト結果

・保健室来室状況

・疾病の罹患状況

・傷害の受傷状況

・健康観察・健康相談の結果

・日常の執務からの資料提供(児童生徒の生活時間、食生活のアンケートなど)など

保健室登校の状況

②議事内容の決定・運営に当たる保健主事の職務に、専門的立場から協力する。

③学校保健組織活動が円滑に推進できるよう、関係者との連携を図る。

④協議内容についての報告や実際的助言を行う。など

 

養護教諭が保健主事を兼務する場合も多いです。

 

どう評価する?

学校保健の評価ー保健管理の評価項目・指標の視点(例)

児童生徒を対象とする保健(薬物乱用防止、心のケア等を含む)に関する体制整備指導・相談の実施の状況

家庭や地域の保健・医療機関等との連携の状況

法定の学校保健計画の作成・実施の状況、学校環境衛生の管理状況

④日常の健康観察や、疾病予防、児童生徒の自己健康管理能力向上のための取組健康診断の実施の状況

 

こうしたことを基に、評価していきます。

 

練習問題

学校保健委員会について

①設置する理由を述べよ。

②実施の目的を述べよ。

③協議内容を答えよ。

④議題を設定する際のポイントを挙げよ。

⑤委員会の開催により、具体的にどのような成果が期待できるか。

⑥学校保健委員会における養護教諭の役割を挙げよ。

 

こたえ

学校保健活動の内容が極めて多方面にわたり、多くの人々の協力を得ながら展開される活動であるから。

・学校における保健に関する課題解決や児童生徒等の健康つくりのための研究協議を行う。

・児童生徒の自主性・実践力を高め、保護者の保健意識、地域の健康に対する認識を深める。

・学校保健活動の水しん。

・校内協力体制の整備を図る。

・学校保健計画に関する事項

・定期健康診断の実施及び結果の事後措置に関する事項

・保護者の啓発と養育態度等の変容を促す事項

・実践の手立てがイメージできるものにする。

・実情に即したものにする。

・参加者が興味を持つ議題を選定する。

・自校の課題を探り、できるだけ具体的な課題に絞る。

・定期健康診断の適切な事後措置の徹底

・食事、運動、休養及び睡眠など規則正しい生活習慣作り

感染症の予防・対策についての取り組み

・災害時の避難や対策等について、家庭、地域社会の理解と協力

・交通安全や生活安全など地域社会等と協力した環境づくりの推進

・水・空気など健康で安全な環境づくりと管理の徹底

・いじめや不登校の問題など心の健康問題への取り組みの充実。

・協議内容に即した資料を提供する。

・議事内容の決定・運営にあたる保健主事の職務に、専門的立場から協力する。

・学校保健組織活動が円滑に推進できるよう、関係者との連携を図る。

・協議内容についての報告や実際的助言を行う。